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福利厚生は導入しただけではダメ!利用率が低いときの見直しポイント3つ
「せっかく福利厚生を充実させたのに、従業員がほとんど利用してくれない…」
そんな悩みを抱えている企業の経営者や人事担当者の方は多いのではないでしょうか。
実際に、多くの企業で福利厚生制度の利用率は想像以上に低く、せっかくの投資が無駄になっているケースが散見されます。しかし、この状況は決して珍しいことではありません。むしろ、適切な見直しを行うことで、福利厚生を企業の成長を支える強力なツールに変えることができるのです。
今回は、ヒューマンフィットネス東浦が多くの企業様との取り組みを通じて得た知見をもとに、福利厚生の利用率が低い原因と、それを解決するための具体的な見直しポイントを3つご紹介します。
福利厚生の利用率が低い3つの原因を徹底分析
原因1:従業員の真のニーズとのズレが発生している
福利厚生の利用率が低い最も大きな原因は、経営陣が考える「従業員に必要なもの」と、実際に従業員が求めているものの間に大きなギャップがあることです。
例えば、弊社がコンサルティングを行った製造業のA社では、従業員の福利厚生として高級レストランの割引券や温泉施設の利用券を提供していました。しかし、アンケート調査を実施してみると、従業員の多くが求めていたのは「日常的な健康維持のサポート」だったのです。
製造業では長時間の立ち仕事や同じ姿勢での作業が多く、従業員の大半が腰痛や肩こりに悩んでいました。彼らが本当に欲しかったのは、高級な娯楽施設ではなく、日々の体の不調を改善するための運動指導や健康サポートだったのです。
このような「ニーズのズレ」は、以下のような要因から生まれます:
働き方の多様化への対応不足 リモートワークが普及した現在、オフィス出社を前提とした福利厚生では、在宅勤務者は恩恵を受けることができません。オフィスにあるマッサージチェアやジムなどは、リモートワーカーには全く意味のない制度になってしまいます。
年齢層や家族構成の違いへの配慮不足 20代の独身社員と40代の子育て世代では、求める福利厚生は全く異なります。若手社員は自己投資やスキルアップに関する支援を求める一方で、子育て世代は育児支援や家族の健康管理に関するサポートを重視する傾向があります。
健康課題への具体的対策の不足 健康診断で高血圧やメタボリックシンドロームの該当者が多いにもかかわらず、具体的な改善支援がない場合、従業員は「会社は健康管理を他人事だと思っている」と感じてしまいます。
原因2:単なるコスト意識で一方的な提供になっている
多くの企業では、福利厚生を「経費」として捉えているため、「制度を作って提供すれば終わり」という一方的なアプローチになりがちです。
しかし、これでは福利厚生の真の価値を引き出すことはできません。福利厚生は単なるコストではなく、従業員のパフォーマンス向上や組織の活性化につながる「投資」として捉えるべきなのです。
弊社がサポートしたIT企業のB社では、当初、福利厚生予算を「年間で使い切ればいい」という発想で運用していました。しかし、健康経営の視点を導入し、福利厚生を「従業員の生産性向上のための投資」として再定義したところ、利用率が30%から85%まで向上しました。
コスト意識から投資意識への転換が必要な理由:
- コスト意識:予算消化が目的、効果測定を行わない
- 投資意識:ROI(投資対効果)を重視、継続的な改善を行う
投資として捉えることで、「どうすれば従業員により多く利用してもらえるか」「どんな効果が得られているか」という改善思考が生まれ、結果として利用率の向上につながるのです。
原因3:ウェルビーイング(心身の幸福)への視点が欠けている
従来の福利厚生は、住宅手当や食事補助といった経済的支援が中心でした。しかし、現代の従業員が求めているのは、単なる経済的メリットではなく、心身ともに健康で充実した働き方、すなわち「ウェルビーイング」の実現です。
ウェルビーイング(Well-being)とは、身体的、精神的、社会的に良好で満たされた状態のことです。WHO(世界保健機関)が提唱する健康の定義にも含まれている概念で、単に病気ではないというだけでなく、生活全般にわたって幸福を感じられる状態を指します。
弊社の経験では、ウェルビーイングを重視した福利厚生を導入した企業では、以下のような変化が見られます:
従業員のエンゲージメント向上 自分の健康や幸福を真剣に考えてくれる企業に対して、従業員は強い愛着を感じるようになります。
離職率の低下 心身ともに健康で満足度の高い職場環境では、従業員の定着率が大幅に改善されます。
生産性の向上 体調が良く、ストレスが軽減された状態では、集中力や創造性が高まり、業務効率が向上します。
福利厚生を戦略的投資に変える見直しポイント3選
ポイント1:現状把握 - データに基づいた客観的な分析を行う
福利厚生の見直しで最も重要なのは、憶測や思い込みを排除し、客観的なデータに基づいて現状を正確に把握することです。
従業員の声を系統的に収集する
まずは、従業員の本当のニーズを知るために、体系的なアンケート調査やヒアリングを実施しましょう。弊社では以下のような方法を推奨しています:
- 匿名性を保証したウェブアンケート
- 部署別・年齢別の小グループでの座談会
- 個別面談による詳細なニーズ調査
重要なのは、属性(年齢、性別、職種、勤務形態など)ごとに分析し、多様なニーズを浮き彫りにすることです。
実際に弊社がサポートした運送業のC社では、アンケート調査により以下のことが判明しました:
- ドライバー職:長時間運転による腰痛対策を最重要視
- 事務職:デスクワークによる肩こり・眼精疲労の改善を希望
- 管理職:ストレス管理と生活習慣病の予防に関心
このように、同じ会社でも職種によって求めるものが全く異なることがわかります。
健康データの活用で潜在的課題を発見
健康診断結果やストレスチェックの結果は、従業員の健康状態を客観的に示す貴重なデータです。これらを分析することで、従業員自身も気づいていない潜在的な健康課題を発見することができます。
例えば:
- メタボリックシンドローム該当者の増加 → 食事指導・運動プログラムの必要性
- ストレス高得点者の多さ → メンタルヘルスケアの重要性
- 肝機能数値の悪化傾向 → アルコール対策・生活習慣改善の緊急性
弊社では、医療従事者と連携して健康データの専門的分析も行っており、企業の健康課題を数値で可視化するサービスも提供しています。
ポイント2:戦略設計 - 健康経営の視点で福利厚生を再構築
現状把握ができたら、次はその課題を解決するための戦略を設計します。ここで重要になるのが「健康経営」の視点です。
健康経営とは何か
健康経営とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践することです。経済産業省も積極的に推進している取り組みで、従業員の健康増進が企業の生産性向上や医療費削減、さらには企業価値の向上につながると考えられています。
健康経営の基本的な考え方:
- 従業員の健康は企業の重要な経営資源
- 健康投資は将来のリターンを生む戦略的投資
- 組織全体のパフォーマンス向上に直結する
福利厚生と経営課題を結びつける
健康経営の視点で福利厚生を再設計する際は、その目的を明確に経営課題と結びつけることが重要です。
例えば:
- 「若手社員の離職率20%削減」を目指し、ストレス管理とワークライフバランス向上を重点的に支援
- 「生産性15%向上」を目指し、身体的不調の改善と集中力向上をサポート
- 「医療費10%削減」を目指し、生活習慣病予防と健康増進を積極的に推進
このように、具体的な経営目標と福利厚生の内容を直結させることで、投資効果が明確になり、継続的な改善活動にも取り組みやすくなります。
専門家との連携で効果を最大化
戦略的な福利厚生の設計には、専門的な知識とノウハウが不可欠です。弊社のような健康経営の専門家と連携することで、以下のメリットが得られます:
- 科学的根拠に基づいたプログラム設計
- 他社事例や最新トレンドの情報提供
- 効果測定と継続的改善のサポート
- 健康経営優良法人認定への道筋
実際に弊社では、健康経営アドバイザーの資格を持つスタッフが、企業様の課題分析から具体的なプログラム実施まで、一貫してサポートしています。
ポイント3:施策実行 - 参加しやすく継続できるプログラムを提供
戦略が決まったら、いよいよ実行フェーズです。利用率を高めるためには、従業員が「参加したくなる」「続けたくなる」魅力的な仕組みを作ることが重要です。
多様な働き方に対応したプログラム設計
現代の職場では、オフィス勤務、在宅勤務、ハイブリッド勤務など、働き方が多様化しています。全ての従業員が公平に福利厚生を享受できるよう、様々なニーズに対応したプログラムを用意する必要があります。
オンライン対応の充実 弊社では、リモートワーカーも参加できるオンライン健康プログラムを多数提供しています:
- オンライン体操・ストレッチ教室
- Web会議システムを活用した栄養指導
- 自宅でできる筋トレ動画の配信
これらのプログラムは、時間や場所に制約されることなく、従業員の都合に合わせて参加できるため、利用率が大幅に向上します。
楽しさと学びを両立させたイベント開催
福利厚生を「義務的なもの」ではなく「楽しいもの」として認識してもらうためには、エンターテイメント性も重要な要素です。
弊社が企画・運営している「東浦健康ラン・ウォーク」は、まさにその好例です。このイベントでは:
- 初心者から上級者まで参加できる多様なコース設定
- 家族連れでも楽しめるファミリー向けプログラム
- 地域との交流を深める機会の提供
- 健康に関する学びの場としてのセミナー同時開催
参加者からは「楽しみながら健康について考えることができた」「同僚との新たなコミュニケーションのきっかけになった」といった声をいただいています。
専門性の高いコンテンツで学習意欲を刺激
従業員の知的好奇心を刺激する質の高いコンテンツも、利用率向上に大きく貢献します。
弊社では、タバタトレーニングの開発者として世界的に著名な田畑泉教授をお招きしたセミナーなど、第一線で活躍する専門家による講演会も企画しています。このような「ここでしか聞けない」特別なコンテンツは、従業員の参加意欲を大いに高めます。
継続をサポートする伴走型システム
福利厚生の真の効果を得るためには、一時的な参加ではなく、継続的な行動変容が必要です。そのために、弊社では以下のような伴走型サポートを提供しています:
パーソナライズされたコーチング
- 個人の体力レベルや健康状態に応じた運動プログラムの提案
- 食事内容の改善アドバイス
- 定期的な進捗確認とモチベーション維持のサポート
チーム戦での取り組み
- 部署やプロジェクト単位でのグループ参加
- チーム内での励まし合いと競争心の活用
- 集団での達成感の共有
これらのアプローチにより、従業員一人ひとりが無理なく健康習慣を身につけ、長期的な行動変容を実現することができます。
福利厚生見直しがもたらす企業への好影響
適切に見直された福利厚生は、企業にとって計り知れないほどの価値をもたらします。弊社がサポートした企業様での実際の成果をご紹介しましょう。
人材定着率の大幅改善
製造業のD社では、福利厚生の見直しを行った結果、若手社員の離職率が前年比で40%減少しました。特に効果的だったのは、新入社員向けの健康管理プログラムと、メンター制度を組み合わせた取り組みです。
新入社員の多くが「会社が自分の健康を本気で考えてくれている」と感じ、組織への愛着が深まったことが要因として挙げられます。離職理由として多かった「職場での孤立感」も、健康プログラムを通じた同僚との交流により大幅に改善されました。
生産性向上と医療費削減の同時実現
IT企業のE社では、従業員の健康状態改善により、以下の成果が得られました:
- 年間病欠日数25%削減
- 集中力向上により残業時間15%削減
- 会社負担の医療費12%削減
- 従業員満足度調査で健康関連項目が前年比30%向上
特に注目すべきは、腰痛や肩こりといった身体的不調の改善により、午後の作業効率が大幅に向上したことです。従業員からは「夕方になっても疲れにくくなった」「集中力が持続するようになった」という声が多数寄せられました。
企業ブランド価値の向上と採用力強化
健康経営に積極的に取り組む企業は、対外的なブランドイメージも大幅に向上します。弊社がサポートしたF社は、健康経営優良法人認定を取得したことで、以下の効果を得ることができました:
- 採用応募者数が前年比60%増加
- 企業説明会での学生の反応が大幅に改善
- 取引先からの信頼度向上
- 地域メディアでの紹介により知名度アップ
現在の労働市場では、給与や待遇だけでなく、働きやすさや会社の価値観を重視する求職者が増えています。従業員の健康を大切にする企業姿勢は、優秀な人材を惹きつける強力な武器となるのです。
具体的な実施ステップと成功のポイント
福利厚生の見直しを成功させるためには、段階的なアプローチが重要です。以下に、実際の実施ステップを示します。
フェーズ1:現状分析と課題抽出(1-2ヶ月)
実施内容:
- 従業員アンケート調査の実施
- 健康診断データの分析
- 現行福利厚生の利用状況調査
- 他社事例の研究
成功のポイント:
- アンケート回収率を上げるために、実施目的を明確に説明
- 匿名性を保証し、率直な意見を収集
- 定量データと定性データの両面から分析
フェーズ2:戦略策定とプログラム設計(1ヶ月)
実施内容:
- 経営課題との関連付け
- 優先順位の設定
- 具体的なプログラム内容の決定
- 予算配分と実施スケジュールの策定
成功のポイント:
- 経営陣との合意形成を確実に行う
- 実現可能性と効果のバランスを考慮
- 外部専門家の知見を活用
フェーズ3:試行実施と効果測定(3-6ヶ月)
実施内容:
- パイロットプログラムの実施
- 参加者へのフィードバック収集
- 効果測定と改善点の抽出
- 全社展開に向けた準備
成功のポイント:
- 小規模から始めて段階的に拡大
- 参加者の声を積極的に取り入れる
- データに基づいた客観的な評価
フェーズ4:全社展開と継続改善(継続的)
実施内容:
- 全社での本格実施
- 定期的な効果測定
- プログラムの継続的改善
- 新たな課題への対応
成功のポイント:
- 継続的なコミュニケーション
- 成功事例の社内共有
- 長期的視点での取り組み
まとめ:福利厚生を未来への投資に変えるために
福利厚生の利用率が低いという現実は、決して悲観すべきことではありません。それは、組織がより良い方向に進化するための貴重な機会なのです。
今回ご紹介した3つの見直しポイント:
- データに基づく現状把握
- 健康経営視点での戦略設計
- 参加しやすい体験型プログラムの実行
これらを実践することで、福利厚生は単なるコストから、企業の成長を支える戦略的投資へと生まれ変わります。
ヒューマンフィットネス東浦では、多くの企業様の福利厚生見直しをサポートしてきました。我々の強みは、単なる健康プログラムの提供ではなく、企業の経営課題解決に直結する戦略的なアプローチです。
従業員の健康と幸福は、企業の持続可能な成長の土台です。今こそ、福利厚生を「未来への投資」として捉え直し、組織全体のウェルビーイング向上に取り組んでみませんか。
ご不明な点やご相談がございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。貴社の課題に寄り添い、共に解決策を見つけるパートナーとして、全力でサポートさせていただきます。
お問い合わせ ヒューマンフィットネス東浦 TEL: 090-4264-6609

