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なぜ従業員の健康は「コスト」ではなく「投資」なのか?企業成長を加速させる健康経営の真価
「また健康診断で引っかかった社員が出てしまった…」
「最近、若手の離職が続いている…」
「生産性がなかなか上がらない…」
このような悩みを抱えている経営者の方は少なくないでしょう。実は、これらの課題にはひとつの共通点があります。それは「従業員の健康」という要素が深く関わっているということです。
多くの企業では、従業員の健康管理を「福利厚生の一環」や「必要経費」として捉えがちです。しかし、これからの時代を勝ち抜く企業は、従業員の健康を「投資」として戦略的に取り組んでいます。
本記事では、なぜ健康経営が単なるコストではなく、企業の成長に直結する重要な投資なのかを詳しく解説していきます。健康経営の具体的なメリットから実践方法まで、経営者の皆様にとって有益な情報をお届けします。
そもそも「健康経営」とは何か?基本的な考え方を理解しよう
健康経営の定義と本質
健康経営とは、「従業員等の健康管理を経営的な視点でとらえ、コストではなく投資として戦略的に取り組むこと」を指します。これは単に健康診断を実施したり、福利厚生を充実させたりするだけではありません。
従業員の心身の健康を企業の重要な経営資源として位置づけ、その向上に投資することで、生産性の向上、組織の活性化、企業価値の向上を実現する経営手法なのです。
なお、「健康経営」という言葉は、NPO法人日本健康経営研究会の登録商標です。この概念は、アメリカの心理学者ロバート・H・ローゼンが提唱した「ヘルシーカンパニー」の考え方が基になっています。
なぜ今、健康経営が注目されているのか
現在の日本が直面している社会構造の変化を考えてみましょう。
少子高齢化による労働力不足の深刻化
日本の労働力人口は1995年をピークに減少し続けています。厚生労働省の推計によると、2040年には現在より約1500万人も減少するとされています。限られた人材で企業活動を維持し、成長を遂げるためには、従業員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮することが不可欠です。
働き方の多様化と価値観の変化
リモートワークの普及、フレックスタイム制の導入など、働き方は大きく変化しました。特に若い世代は、給与や昇進だけでなく、ワークライフバランスや職場環境の質を重視する傾向が強まっています。
実際に、当社が関わった企業の人事担当者からも「採用面接で福利厚生や健康支援について質問される機会が増えた」という声をよく聞きます。
企業の社会的責任の重視
ESG(環境・社会・ガバナンス)経営が注目される中、従業員の健康と福祉への配慮は、企業の社会的責任として重要視されています。健康経営は、持続可能な社会の実現に貢献する重要な取り組みとして認識されているのです。
健康経営と従来の福利厚生の違い
従来の福利厚生は「あったら嬉しい制度」という位置づけでした。一方、健康経営は「経営戦略の一部」として位置づけられます。
例えば、従来の福利厚生では「健康診断を実施する」ことが目的でした。しかし健康経営では「健康診断の結果を分析し、従業員の健康課題を把握して、具体的な改善策を実行し、その効果を測定する」ところまでがセットになります。
つまり、PDCAサイクルを回しながら継続的に改善していく経営手法なのです。
あなたの会社は大丈夫?健康を「コスト」視点で見る企業の落とし穴
多くの経営者が抱える現実的な悩み
当社にご相談いただく経営者の方々から、よく次のような悩みをお聞きします。
「福利厚生は導入したけれど、利用率が低くて困っている…」
ある製造業のA社では、社員食堂を設置し、フィットネスクラブの法人会員も契約しました。しかし、利用率は社員食堂が30%、フィットネスクラブに至っては5%という状況でした。
経営者は「せっかくお金をかけたのに…」と頭を抱えていました。このような状況は珍しくありません。制度を導入しただけで満足してしまい、従業員のニーズや利用しやすさを考慮していないケースが多いのです。
「最近、生産性が落ちているように感じる…」
IT企業のB社では、長時間のデスクワークにより、多くの社員が腰痛や肩こりを訴えていました。「みんな出勤はしているけれど、なんとなく元気がない」「以前と比べて集中力が続かない社員が多い」という状況でした。
これは「プレゼンティーイズム」と呼ばれる現象です。プレゼンティーイズムとは、出勤しているものの、心身の健康問題によって本来のパフォーマンスが発揮できていない状態を指します。
「健康診断の結果が年々悪化している…」
建設業のC社では、健康診断で要再検査・要精密検査の社員が年々増加していました。特にメタボリックシンドロームの該当者・予備軍が全体の40%を超える状況でした。
経営者は「個人の問題だから」と考えていましたが、実際には現場での作業効率の低下や、将来的な疾病リスクの増大という深刻な経営課題を抱えていたのです。
課題を放置することの深刻なリスク
これらの課題を「仕方がない」「個人の問題」として放置すると、企業にはどのようなリスクが生じるのでしょうか。
生産性の継続的な低下
プレゼンティーイズムによる生産性の損失は、欠勤による損失よりもはるかに大きいことが研究で明らかになっています。東京大学の研究によると、プレゼンティーイズムによる生産性損失は、欠勤による損失の約3倍にものぼるとされています。
人材流出の加速
健康管理に配慮しない企業は、特に若手人材から敬遠される傾向があります。転職理由の上位に「職場環境の改善」が常にランクインしていることからも、その重要性がうかがえます。
医療費の増大
従業員の健康状態が悪化すると、企業が負担する健康保険料も増加します。また、重篤な疾患で長期休業する社員が出れば、代替人員の確保や業務の引き継ぎなど、直接的・間接的なコストが発生します。
企業イメージの悪化
「社員を大切にしない会社」というイメージが定着すると、採用活動や取引先との関係にも悪影響を及ぼします。特にSNSが普及した現在では、企業の内部事情が外部に伝わりやすくなっています。
健康は「投資」である!企業成長に直結する5つの具体的リターン
リターン1:生産性の劇的な向上
健康経営による最も直接的で大きなリターンが、生産性の向上です。
プレゼンティーイズムの改善事例
当社が支援した運輸会社のD社では、ドライバーの腰痛対策として、定期的な運動指導と職場環境の改善を実施しました。その結果、6か月後には以下の成果が得られました。
- 腰痛を訴える社員が70%から25%に減少
- 配送効率が15%向上
- 事故・トラブルが30%減少
「体の調子が良くなると、仕事に集中できるようになった」「以前より疲れにくくなった」という声が多く聞かれました。
集中力と創造性の向上
適度な運動習慣は、脳の機能を活性化させることが科学的に証明されています。運動により分泌されるBDNF(脳由来神経栄養因子)は、記憶力や学習能力を向上させる効果があります。
チームパフォーマンスの向上
個人の健康状態が改善されることで、チーム全体の雰囲気も良くなります。疲労やストレスが軽減されると、コミュニケーションが活発になり、協力的な職場風土が醸成されるのです。
リターン2:人材の定着率向上と採用競争力の強化
離職率の大幅改善事例
IT企業のE社では、健康経営の取り組みを開始してから、離職率が劇的に改善しました。
- 取り組み前:年間離職率18%
- 取り組み後:年間離職率7%
特に、入社3年以内の若手社員の離職率が大幅に改善されました。「会社が自分たちの健康を気にかけてくれている」という実感が、エンゲージメントの向上につながったのです。
採用活動での差別化
健康経営の取り組みは、採用活動においても強力な武器となります。当社が支援している企業の人事担当者からは、「求人サイトで健康経営の取り組みを紹介したところ、応募者数が30%増加した」という報告もいただいています。
従業員満足度の向上
健康経営に取り組む企業では、従業員満足度調査の結果が継続的に向上する傾向があります。これは、会社が従業員を大切にしているという実感が、仕事へのモチベーション向上につながるためです。
リターン3:企業価値とブランドイメージの向上
外部評価の獲得
経済産業省が推進する「健康経営優良法人認定制度」や「健康経営銘柄」の選定は、企業の社会的評価を高める重要な指標となっています。
認定を受けた企業では、以下のような効果が報告されています。
- 取引先からの信頼度向上
- 金融機関からの融資条件改善
- 株価や企業価値の向上
顧客・取引先からの評価向上
BtoB企業においても、健康経営への取り組みは取引先選定の重要な要素となりつつあります。「従業員を大切にする企業は、顧客も大切にしてくれる」という認識が広がっているためです。
メディア露出の機会増加
健康経営の先進的な取り組みは、メディアからも注目を集めやすく、結果的に企業の知名度向上につながります。
リターン4:リスクマネジメントと医療費の適正化
将来の疾病リスクの予防
生活習慣病の予防は、将来的な重大疾患のリスクを大幅に軽減します。糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、心筋梗塞や脳梗塞といった重篤な疾患の原因となります。
実際の医療費削減事例
製造業のF社では、健康経営の取り組みを3年間継続した結果、以下の成果が得られました。
- 一人当たりの年間医療費が平均15%減少
- 長期休業者数が60%減少
- 健康保険組合の収支改善
業務継続性の確保
従業員の健康状態が良好であることは、業務継続計画(BCP)の観点からも重要です。感染症の流行時にも、健康な従業員が多い企業ほど事業継続能力が高くなります。
リターン5:組織の活性化とコミュニケーション促進
部門を超えたコミュニケーション
健康経営の取り組みは、部署や役職を超えた交流の機会を提供します。当社が支援している企業では、全社でのウォーキングイベントや健康セミナーを通じて、普段接点のない社員同士が交流する機会が生まれています。
チームビルディング効果
共通の健康目標に向かって取り組むことで、チーム結束力が高まります。「一緒に汗を流す」という体験は、信頼関係の構築に大きく寄与します。
イノベーションの促進
多様な部署の社員が交流することで、新たなアイデアや改善提案が生まれやすくなります。実際に、健康経営の取り組みをきっかけとして、業務改善や新商品開発につながった事例も数多く報告されています。
今日から始める!効果的な健康経営の実践ステップ
ステップ1:現状把握と課題の明確化
健康経営を成功させるためには、まず現状を正確に把握することが重要です。
健康診断データの詳細分析
単に健康診断を実施するだけでなく、その結果を詳しく分析しましょう。以下の点に注目してください。
- 年代別・部署別の健康状態の傾向
- 経年変化の把握
- 生活習慣病リスクの分布
- ストレス度合いの測定
従業員アンケートの実施
健康に関する意識調査を行い、従業員のニーズを把握します。
- 現在の健康状態への自己評価
- 健康に対する関心度
- 運動習慣や食生活の実態
- 会社に望む健康支援の内容
職場環境のチェック
物理的な職場環境も健康に大きく影響します。
- 照明・温度・湿度の適正性
- 机や椅子の高さ調整状況
- 休憩スペースの充実度
- 喫煙・受動喫煙対策の状況
ステップ2:具体的なプログラムの導入
現状把握ができたら、具体的な改善策を実施しましょう。
運動機会の提供
当社では、企業のニーズに合わせて様々な運動プログラムを提供しています。
オンライン運動プログラム
リモートワークが増えた現在、オンラインでの運動指導が注目されています。当社のオンライン体操は、1回15分程度で手軽に参加でき、多くの企業で好評をいただいています。
出張フィットネス&セミナー
プロのトレーナーが直接企業に出向き、運動指導を行います。職場の環境に合わせたプログラムを提供できるため、参加者の満足度が高いのが特徴です。
タバタトレーニング
立命館大学の田畑泉教授が開発した科学的根拠に基づく高強度インターバルトレーニングです。短時間で高い効果が期待でき、忙しいビジネスパーソンに最適です。当社では田畑教授をお招きしたセミナーも開催しており、参加者から高い評価をいただいています。
健康教育・啓発活動
健康づくり研修
従業員の健康リテラシー向上のための研修を実施します。生活習慣病の予防、ストレス管理、栄養バランスなど、幅広いテーマで対応可能です。
健康情報の発信
社内報やイントラネットを活用した健康情報の定期発信も効果的です。当社では、企業向けの健康情報コンテンツも提供しています。
個別サポートの充実
パーソナルコーチング
個人の健康状態や目標に合わせたマンツーマン指導を行います。特に生活習慣病のリスクが高い社員や、健康意識の高い管理職の方に好評です。
食事指導
栄養士による食事指導も重要な要素です。社員食堂のメニュー改善から、個人の食生活アドバイスまで幅広く対応します。
ステップ3:継続的な支援と改善
健康経営は一時的な取り組みではなく、継続的な改善が必要です。
専門家による伴走支援
当社では「本質的な健康経営を徹底伴走支援」をモットーに、導入から効果測定、改善提案まで一貫してサポートしています。
健康経営アドバイザーや健康経営トレーナーといった専門資格を持つスタッフが、企業の課題に合わせてカスタマイズしたプログラムを提案し、実行を支援します。
定期的な効果測定
プログラムの効果を定期的に測定し、必要に応じて内容を調整します。
- 参加率・継続率の追跡
- 健康データの変化
- 生産性指標の改善度
- 従業員満足度の変化
成功事例の共有
他社の成功事例や最新の健康経営トレンドを共有し、継続的な改善につなげます。
まとめ:健康経営は企業の未来を創る最強の投資戦略
ここまで、なぜ従業員の健康への取り組みが単なる「コスト」ではなく、企業成長に不可欠な「投資」であるのかを詳しく解説してきました。
少子高齢化と労働力人口の減少という避けられない社会変化の中で、企業が持続的な成長を遂げるためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、最高のパフォーマンスを発揮できる環境を整えることが絶対条件です。
健康経営による投資効果は、生産性の向上、人材の定着、企業価値の向上、リスクマネジメント、組織の活性化という5つの側面で具体的なリターンをもたらします。これらは短期的な費用対効果だけでは測れない、企業の未来そのものを創り上げるための戦略的な投資なのです。
重要なことは、健康経営を単発のイベントとしてではなく、継続的な経営戦略として位置づけることです。そのためには、専門家のサポートを受けながら、自社の課題に合わせたプログラムを段階的に導入し、効果を測定しながら改善を続けることが必要です。
当社ヒューマンフィットネス東浦では、これまで多くの企業様の健康経営をサポートし、実際に生産性向上や離職率改善といった成果を上げてきました。登録者数2200人を突破したYouTubeチャンネルでの情報発信から、個別企業への出張指導まで、幅広いニーズにお応えしています。
健康経営について「何から始めたらよいかわからない」「効果的なプログラムを知りたい」「継続的な支援が欲しい」とお考えの経営者様、健康経営担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。
あなたの会社の課題に寄り添い、従業員の健康と企業の成長を両立させる最適なソリューションを、専門スタッフがご提案いたします。健康経営という投資を通じて、持続可能で魅力的な企業への変革を一緒に実現しましょう。
お問い合わせ・ご相談はこちら TEL: 090-4264-6609 健康経営に関するご相談は無料で承っております。まずはお気軽にお電話ください。
今さら聞けない「健康経営」とは?企業の未来を創る、コストではない"投資"の始め方
「最近、若手の離職が続いている…」 「従業員の腰痛や肩こりが原因で、オフィス全体の生産性が下がっている気がする…」 「福利厚生制度を導入してみたものの、あまり利用されていない…」
もしこのような悩みをお持ちでしたら、今回の記事は必ずお役に立てるはずです。
少子高齢化による労働力人口の減少が進む現代において、従業員一人ひとりの活力は、企業の成長を左右する極めて重要な要素です。こうした課題を解決する鍵として、今、「健康経営」という考え方が大きな注目を集めています。
しかし、「言葉は聞いたことがあるけれど、具体的に何をすればいいのか分からない」「福利厚生と何が違うの?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな疑問にお答えすべく、「健康経営」の基本的な定義から、企業にもたらされる具体的なメリット、そして実践への第一歩までを、わかりやすく徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、健康経営が単なるコストではなく、企業の未来を創るための戦略的な「投資」であることをご理解いただけるはずです。
「健康経営」とは?その定義と、今なぜ注目されるのか
健康経営の基本的な定義を知っておこう
まず、健康経営の定義から確認しましょう。
「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点でとらえ、コストではなく「投資」として戦略的に取り組むことを指します。
ここでのポイントは2つあります。
まず一つ目は、「経営的な視点」でとらえることです。従来の健康管理は、「福利厚生の一環」として、従業員の満足度向上のために行われることがほとんどでした。しかし健康経営では、従業員の健康を「企業の重要な資源」と位置づけ、その資源を最大限に活用して企業理念の実現や業績向上を目指すという、経営戦略のレベルで考えます。
二つ目のポイントは、コストではなく「投資」と考えることです。健康診断の費用やフィットネスジムの補助などは、会計上は「コスト(費用)」として計上されます。しかし健康経営では、これらの支出を、将来的に企業の生産性向上や企業価値の増大といったリターンを生み出すための「投資」と捉えます。目先の支出にとらわれるのではなく、長期的な視点でその効果を見据えることが重要なのです。
現代社会が抱える構造的な課題
健康経営という考え方が急速に広まっている背景には、現代の日本社会が抱える構造的な課題があります。
第一に、深刻化する少子高齢化と労働力人口の減少です。日本は深刻な少子高齢化に直面しており、それに伴う労働力人口の減少は、多くの企業にとって喫緊の経営課題となっています。限られた人材で高いパフォーマンスを維持し、企業として成長を続けていくためには、従業員一人ひとりが心身ともに健康で、元気に長く働き続けられる環境を整えることが不可欠です。従業員の健康を守ることは、企業の存続そのものに関わる重要なテーマとなっているのです。
第二に、働き方の多様化と新たな健康課題の発生です。近年、リモートワーク(在宅勤務)が急速に普及しました。通勤の負担が減るなどのメリットがある一方で、「運動不足」「コミュニケーション不足による孤立感」「オンオフの切り替えが難しいことによる精神的ストレス」といった新たな健康課題が顕在化しています。
特に運動不足は、腰痛や肩こりを引き起こし、従業員の生産性を著しく低下させる要因となります。企業は、オフィス勤務か在宅勤務かにかかわらず、従業員が運動習慣を維持できるような仕組み(例えば、遠隔でのオンライン体操など)を提供する必要に迫られています。
第三に、「Well-being(ウェルビーイング)」な社会への関心の高まりです。Well-beingとは、身体的、精神的、そして社会的に良好な状態にあることを意味する概念です。単に病気でないというだけでなく、一人ひとりが幸福で充実した人生を送れる社会を目指す考え方であり、持続可能な社会を実現する上での重要なキーワードとされています。
企業においても、従業員のWell-beingを向上させることが、仕事への熱意や創造性を高め、結果的に企業全体の成長に繋がると認識され始めています。健康経営は、まさにこのWell-beingな社会を実現するための具体的なアクションなのです。
健康は投資である!健康経営がもたらす5つの経営的メリット
健康経営を「投資」と捉えるべき理由を、企業が得られる具体的なメリットから詳しく見ていきましょう。
メリット1:生産性の向上で業績アップを実現
従業員の健康状態は、企業の生産性に直接的な影響を与えます。特に問題となるのが「プレゼンティーズム」と「アブセンティーズム」という現象です。
プレゼンティーズムとは、出勤はしているものの、心身の不調(例:腰痛、肩こり、疲労、メンタル不調など)が原因で、本来のパフォーマンスを発揮できていない状態のことです。一方、アブセンティーズムは、心身の不調による欠勤や休職を指します。
実は、ある調査によれば、プレゼンティーズムによる企業の損失額は、アブセンティーズムや医療費の数倍にものぼると言われています。つまり、目に見える「休み」よりも、「出社はしているが本調子ではない」状態の方が、企業にとっては大きな損失となっているのです。
例えば、デスクワーク中心の従業員が慢性的な腰痛を抱えていた場合を考えてみましょう。その従業員は毎日出社していても、痛みで集中力が低下し、通常なら2時間で終わる作業に3時間かかってしまうかもしれません。これが複数の従業員に及ぶと、企業全体の生産性は大幅に低下してしまいます。
健康経営によって従業員の健康を増進し、腰痛や肩こり、メンタル不調などを予防・改善することは、このプレゼンティーズムを解消し、組織全体の生産性を大きく向上させることに繋がるのです。
メリット2:従業員エンゲージメントの向上と人材の定着
「また若手が辞めてしまった…」という悩みは、多くの企業が抱える深刻な問題です。従業員が企業に求めるものは、給与や待遇だけではありません。特に若い世代は、「この会社は自分を大切にしてくれるか」「自分らしく健康に働き続けられるか」といった点を重視する傾向にあります。
企業が従業員の健康に投資し、積極的にサポートする姿勢を示すことは、「会社は私たちを大切にしてくれている」という従業員の安心感と信頼感に繋がります。これが従業員エンゲージメント(仕事への熱意や貢献意欲)を高め、離職率の低下、すなわち人材の定着に大きく貢献するのです。
実際に、ある製造業の企業では、工場内に簡単な運動スペースを設置し、勤務時間中に短時間の体操を取り入れたところ、従業員から「会社が自分たちの体のことを考えてくれている」という声が多く寄せられ、離職率が前年比で30%減少したという事例もあります。
メリット3:採用競争力の強化と企業ブランディング
健康経営への取り組みは、社内に留まらず、社外に対しても強力なメッセージとなります。求職者、特に優秀な人材ほど、企業の将来性や働きがいを吟味します。その際、従業員の健康や働きやすさに配慮している企業を高く評価する傾向にあります。
健康経営に積極的に取り組んでいることをアピールすることで、「従業員を大切にするホワイトな企業」というブランドイメージが確立され、採用市場における競争力を高めることができます。
特に、新卒採用においては、学生が企業選びの際に重視する要素として「働きやすさ」「健康への配慮」が上位に挙がることが多くなっています。健康経営の取り組みは、そうした優秀な人材を引きつける強力な武器になるのです。
メリット4:企業イメージの向上と社会的評価の獲得
近年、投資家が企業を評価する際には、財務情報だけでなく、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)といった非財務情報を重視する「ESG投資」が世界の潮流となっています。従業員の健康や安全への配慮は、「S(社会)」の重要な要素です。
また、経済産業省と日本健康会議が共同で選定する「健康経営優良法人認定制度」のような仕組みも整備されています。このような認定を受けることで、顧客や取引先、金融機関、地域社会からの信頼が高まり、企業価値全体の向上に繋がります。
実際に、健康経営優良法人に認定された企業の中には、その認定をきっかけに新しい取引先との関係構築に成功したり、銀行からの融資条件が改善されたりしたケースも報告されています。
メリット5:医療費負担の軽減で長期的なコスト削減
従業員の健康状態が悪化し、生活習慣病などにかかる人が増えれば、企業が負担する健康保険料の増大に繋がる可能性があります。「健康診断の結果、いよいよ放っておけない…」「メタボの社員、どうにか行動してくれないかな…」といった課題は、放置すれば将来的なコスト増に直結するリスクをはらんでいます。
健康経営を通じて、食事指導や運動機会の提供を行い、従業員の生活習慣改善を促すことは、長期的に見て企業の医療費負担を抑制する効果も期待できるのです。
ある中小企業では、従業員向けの健康プログラムを導入した結果、3年間で健康保険組合への拠出金が約15%削減されたという成果を上げています。初期投資は必要ですが、長期的に見れば確実にリターンのある投資と言えるでしょう。
健康経営、何から始める?明日からできる実践への第一歩
「健康経営の重要性は分かった。でも、具体的に何から手をつければいいのか…」
ここからは、健康経営を実践するための具体的なステップと取り組み例をご紹介します。
STEP 1:現状把握 - まずは自社の「健康課題」を知ろう
何事も、まずは現状を正しく把握することから始まります。貴社の従業員がどのような健康課題を抱えているのかを知らなければ、効果的な施策は打てません。
健康アンケートの実施から始めてみましょう。仕事のストレス度、睡眠時間、運動習慣、食生活、肩こりや腰痛の有無など、匿名のアンケートで従業員のリアルな声を集めます。「正直に答えてもらうため」に匿名性を保つことが重要です。
次に、身体機能チェックの導入も効果的です。専門家による体力測定や姿勢のチェックなどを実施し、客観的なデータから身体的な課題を可視化します。「なんとなく疲れやすい」という主観的な感覚を、数値として見える化することで、課題が明確になります。
さらに、健康診断結果の分析も忘れてはいけません。健康診断の結果を集計・分析し、有所見率が高い項目や、メタボリックシンドロームの該当者・予備軍の割合などを把握します。
これらの結果から、「当社の課題は、長時間のデスクワークによる運動不足と、それに伴う腰痛持ちの多さだな」といった具体的な課題が見えてきます。
STEP 2:計画と目標設定 - 課題解決のための具体的施策
現状把握で明らかになった課題に基づき、具体的な施策を計画します。ここでは、様々な企業で導入されている取り組みの例をいくつかご紹介します。
運動機会の増進については、在宅勤務者向けの「オンライン体操」が非常に効果的です。始業前や昼休みに、専門トレーナーの指導によるオンラインでのストレッチや体操の時間を設けます。気軽に参加でき、運動習慣化のきっかけになります。実際に、ある企業では毎朝9時から10分間のオンライン体操を実施したところ、参加者の80%が「肩こりが改善した」と回答したという事例もあります。
また、「出張フィットネス・セミナー」も人気の取り組みです。オフィスにトレーナーを招き、会議室などで手軽にできるエクササイズ講座や、健康に関するセミナーを開催します。「わざわざジムに通う時間はないけれど、会社でできるなら参加したい」という従業員のニーズに応えることができます。
地域の健康イベントへの参加促進も良いアイデアです。例えば地域で開催される健康ウォーキングイベントなどに、会社として参加を呼びかけ、参加費を補助するのも効果的です。従業員同士の交流も深まり、一石二鳥の効果が期待できます。
ヘルスリテラシーの向上も重要な要素です。ヘルスリテラシーとは、健康に関する情報を正しく理解し、活用する能力のことです。従業員一人ひとりの健康意識を高めることが、健康経営成功の鍵となります。
「健康づくり研修」の実施では、食事、運動、睡眠、メンタルヘルスなど、テーマ別の研修会を実施し、従業員が自らの健康を管理するための知識を提供します。専門家による講義だけでなく、グループディスカッションを取り入れることで、参加者同士が健康について話し合う機会を作ることも大切です。
特に健康課題を抱える従業員に対しては、専門家がマンツーマンで生活習慣改善をサポートする「パーソナルコーチング(食事指導含む)」も効果的です。一人ひとりの生活スタイルに合わせた具体的なアドバイスを提供することで、確実な行動変容を促すことができます。
STEP 3:働きやすい環境の整備で根本的な改善を
健康経営は運動や食事指導だけではありません。働きやすい環境を整備することも重要な要素です。
長時間労働の是正は基本中の基本です。勤怠管理を徹底し、残業時間の削減に取り組みます。「残業が当たり前」という職場風土を変えることで、従業員の心身の健康を守ることができます。
休暇取得の促進も同様に重要です。有給休暇の取得しやすい雰囲気づくりや、計画的な取得を奨励します。「休むことは悪いこと」という認識を改め、「しっかり休んでパフォーマンスを上げる」という考え方を浸透させることが大切です。
コミュニケーションの活性化にも力を入れましょう。社内イベントや部活動支援などを通じて、部署を超えた交流の機会を創出します。良好な人間関係は、仕事のストレス軽減に大きく貢献します。
専門家と共に歩む健康経営 - 成功への近道とは
健康経営を自社のリソースだけで推進しようとすると、様々な壁にぶつかることがあります。
「福利厚生は導入したけれど、利用率が低くて形骸化している…」 「どんな施策が自社の課題に本当に有効なのか分からない…」 「従業員の参加意欲を高める方法が分からない…」
そんな時こそ、外部の専門家の力を借りることが成功への近道となります。
専門家が提供する価値とは
健康経営の専門家は、単に運動プログラムを提供するだけではありません。
まず、課題の抽出と分析において、アンケートや身体機能チェックの結果から、企業の潜在的な健康課題を専門的な視点で分析します。表面的な症状だけでなく、その根本原因まで探ることで、効果的な対策を立てることができます。
次に、オーダーメイドのプログラム策定では、分析結果に基づき、その企業の業種や働き方、従業員の年齢構成などに合わせた、最も効果的なプログラムを策定します。「他社で成功したから」という理由だけで施策を真似するのではなく、自社に最適化されたプログラムを作り上げることが重要です。
そして最も重要なのが、施策の実行と伴走支援です。健康経営は一度施策を導入して終わりではありません。従業員の参加を促し、習慣化するまで、専門家が連携しながら徹底的に伴走支援します。
例えば、健康経営アドバイザーや健康経営トレーナーといった資格を持つ専門家は、経営的な視点を持ち合わせているため、企業の経営課題にまで踏み込んだ本質的なコンサルティングが可能です。
ヒューマンフィットネス東浦の健康経営支援
私たちヒューマンフィットネス東浦では、健康経営アドバイザーの資格を持つトレーナーが、貴社の課題解決を徹底的に伴走支援します。
ご提供しているプログラムは多岐にわたります。
健康経営コンサルティングでは、経営課題のヒアリングから、健康経営計画の策定までトータルでサポートします。「何から始めればいいか分からない」という企業様にとって、最初の一歩を踏み出すための強力なサポートとなります。
オンライン運動プログラムは、リモートワーク中心の企業でも全社で取り組める運動機会を提供します。時間や場所に制約されることなく、従業員の皆様が気軽に参加できる環境を整えます。
出張フィットネス・セミナーでは、貴社に直接お伺いし、運動指導や健康研修を実施します。従業員の皆様が慣れ親しんだ職場環境で、リラックスして参加いただけます。
健康管理の伴走支援では、従業員一人ひとりの健康目標達成を継続的にサポートします。単発の研修で終わるのではなく、長期的な視点で健康習慣の定着を支援します。
まずは、貴社が抱えるお悩みをお聞かせください。専門家と連携し、貴社に最適なソリューションをご提案いたします。
まとめ:企業の未来は、従業員の健康と共にある
本記事では、「健康経営」について、その定義からメリット、実践方法までを詳しく解説してきました。
改めて要点を振り返りましょう。
健康経営とは、従業員の健康管理をコストではなく「投資」と捉え、経営戦略として取り組むことです。その背景には、労働力人口の減少や働き方の多様化といった社会的な課題があります。
健康経営は、生産性の向上、人材の定着、企業イメージ向上など、企業に多くのメリットをもたらします。これらは一時的な効果ではなく、長期的な企業価値の向上に直結する重要な要素です。
実践の第一歩は、現状把握から始まります。その上で、自社の課題に合った施策(運動機会の増進、ヘルスリテラシー向上など)を実行することが重要です。そして、成功のためには、健康経営アドバイザーのような外部の専門家と連携し、伴走支援を受けることが効果的です。
少子高齢化が進み、人材の価値がますます高まるこれからの時代、従業員の心身の健康は、間違いなく企業の最も重要な資本となります。従業員一人ひとりが健康で元気に働くことができる環境を整えることは、Well-beingな社会、そして持続可能な社会の実現に貢献する、企業の社会的責任とも言えるでしょう。
健康経営は、もはや一部の先進企業だけのものではありません。すべての企業が成長を続けるために不可欠な経営戦略です。
この記事が、貴社が健康経営への第一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。「何から相談すればいいか分からない」という段階でも構いません。まずはお気軽にお問い合わせください。
健康経営の取り組みを通じて、従業員の皆様がより健康で活力に満ちた働き方を実現し、企業としても持続的な成長を遂げていただけることを心より願っております。
お問い合わせはTEL: 090-4264-6609まで、またはウェブサイトのお問い合わせフォームからもご連絡いただけます。

