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2025-10-02 06:00:00

労働人口減少社会を乗り切るための持続可能な経営戦略としての健康経営

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はじめに:変わりゆく日本の労働環境と企業の挑戦

「うちの会社、また若手が辞めてしまった...」

「社員の健康診断結果を見ると、メタボの人がどんどん増えている」

「在宅勤務が増えて、みんなの体調管理が心配だ」

 

このような悩みを抱えている経営者の方は、決して少なくないはずです。

 

日本は今、少子高齢化による労働人口の減少という、

これまでに経験したことのない大きな社会変化の真っ只中にあります。

 

厚生労働省の統計によると、

日本の労働力人口は2030年には約6,773万人まで減少すると予測されています。

これは現在と比べて約400万人の減少です。

つまり、企業は限られた人材で、これまで以上の成果を出さなければならない時代に突入しているのです。

 

そんな中で注目を集めているのが「健康経営®」という考え方です。

健康経営とは、従業員の健康管理を経営的な視点で捉え、コストではなく投資として戦略的に取り組む経営手法のことです。

 

※健康経営とは、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。

 

 

私たちヒューマンフィットネス東浦では、

これまで多くの企業様の健康経営をサポートしてきました。

 

その経験から言えることは、健康経営は単なる福利厚生の充実ではなく、

労働人口減少社会を乗り切るための極めて重要な経営戦略だということです。

 

本記事では、なぜ今健康経営が必要なのか、

どのような効果が期待できるのか、

そして具体的にどのように進めていけば良いのかについて、

詳しく解説していきます。

 

健康経営とは何か:従来の福利厚生との違い

健康経営の定義と基本概念

健康経営とは、経済産業省が推進している取り組みで、

「従業員等の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践すること」と定義されています。

ここでポイントとなるのは「経営的な視点」という部分です。

 

従来の福利厚生は、

どちらかというと「従業員満足度の向上」や「採用時のアピールポイント」

として位置づけられることが多く、その効果を具体的に測定することは困難でした。

 

一方、健康経営では、

従業員の健康状態の改善が企業の業績向上にどのような影響を与えるかを定量的に把握し、

継続的に改善していくアプローチを取ります。

実際の企業事例から見る健康経営の効果

私たちがサポートさせていただいている製造業A社の事例をご紹介します。

A社では従業員約200名のうち、約30%の方が腰痛や肩こりなどの慢性的な身体の不調を抱えていました。

これらの不調は、集中力の低下や作業効率の悪化につながり、

結果として生産性の低下を招いていました。

 

そこで私たちは、まず全従業員を対象とした身体機能チェックを実施し、

個々の身体的な課題を明確化しました。

その結果に基づいて、職場でできる簡単なストレッチプログラムや正しい姿勢の指導、

さらには個別の運動指導を提供しました。

 

取り組み開始から6か月後、A社では以下のような変化が見られました:

  • 腰痛・肩こりの訴えが約40%減少
  • 作業効率が平均15%向上
  • 有給休暇の取得率が健康的な理由での取得に変化
  • 従業員満足度調査での健康関連項目が大幅改善

この事例からもわかるように、

健康経営は単なる「良いこと」ではなく、明確な経営効果を生み出す投資なのです。

健康経営アドバイザーの役割

健康経営を成功させるためには、専門的な知識とノウハウが必要です。

ヒューマンフィットネス東浦のトレーナーの檜垣は、

健康経営アドバイザーおよび健康経営トレーナーの資格を保有しています。

企業の経営課題と従業員の健康課題を結びつけて解決策を提案することができます。

 

健康経営アドバイザーとは、東京商工会議所が認定する資格で、

企業の健康経営推進をサポートする専門家のことです。

 

単に運動や栄養の指導ができるだけでなく、

経営的な視点から健康施策を企画・実行・評価できる能力を持った人材です。

労働人口減少社会における健康経営の重要性

人材不足の現実と企業への影響

現在の日本では、あらゆる業界で人材不足が深刻化しています。

帝国データバンクの調査によると、正社員の人手不足を感じている企業は全体の約51%にのぼります。

 

特に情報サービス業、建設業、運輸業では6割を超える企業が人手不足を実感しています。

このような状況下では、新たな人材の獲得と同時に、

既存の従業員に長く健康に働いてもらうことが極めて重要になります。

 

優秀な人材が体調不良で長期休職したり、

健康上の理由で退職したりすることは、企業にとって大きな損失となります。

プレゼンティーイズムという隠れたコスト

健康問題による企業への影響を考える際に重要なのが「プレゼンティーイズム」という概念です。

プレゼンティーイズムとは、出社はしているものの、

健康上の問題により十分なパフォーマンスを発揮できない状態のことを指します。

 

厚生労働省の調査によると、企業の健康関連総コストのうち、

医療費や薬剤費などの直接的なコストよりも、

このプレゼンティーイズムによる生産性低下のコストの方がはるかに大きいことが判明しています。

 

具体的には、健康関連総コストの約77%がプレゼンティーイズムによるものだとされています。

実際の職場で起こっている健康問題

私たちがこれまでサポートしてきた企業では、以下のような健康問題が頻繁に見られます:

身体的な問題

  • 長時間のデスクワークによる腰痛・肩こり
  • 運動不足による筋力低下と体力不足
  • 生活習慣病の予備軍の増加
  • 睡眠不足による疲労蓄積

 

メンタル面の問題

  • 仕事のストレスによる精神的な不調
  • 在宅勤務による孤独感やコミュニケーション不足
  • 将来への不安や仕事へのモチベーション低下

 

これらの問題は、個人の問題として片付けるのではなく、

組織全体の生産性や企業文化に大きな影響を与える経営課題として捉える必要があります。

健康経営がもたらす5つの経営効果

効果1:生産性の向上と業績改善

健康経営の最も直接的な効果は、従業員の生産性向上です。

心身ともに健康な従業員は、集中力が高く、創造性に富み、

積極的に業務に取り組む傾向があります。

 

実際に、健康経営に取り組んでいる企業の多くで、以下のような改善が報告されています:

  • 作業効率の向上(平均10-20%の改善)
  • 品質向上とミスの減少
  • 新しいアイデアや提案の増加
  • チームワークの向上

 

私たちがサポートしたサービス業B社では、従業員の健康状態改善により、

顧客満足度が15%向上しました。

 

これは、従業員が心身ともに健康になることで、

顧客対応の質が向上したことが要因と考えられます。

効果2:人材の定着率向上と採用力強化

健康経営に取り組む企業は、従業員を大切にする企業として認知されます。

これにより、既存従業員の会社への愛着度(エンゲージメント)が向上し、離職率の低下につながります。

 

また、求職者にとっても魅力的な職場として映るため、優秀な人材の獲得にも有利になります。

特に最近の若い世代は、給与や待遇だけでなく、

働きがいや職場環境を重視する傾向が強くなっています。

 

効果3:医療費削減とリスク管理

従業員の健康状態が改善されることで、

企業が負担する健康保険料の削減効果も期待できます。

特に生活習慣病の予防に力を入れることで、将来的な医療費の大幅な削減が可能になります。

 

経済産業省の調査によると、健康経営に積極的に取り組んでいる企業では、

1人当たりの年間医療費が平均約3万円削減されているという結果が出ています。

効果4:企業イメージの向上とブランド価値の創造

健康経営に取り組む企業は、

「健康経営優良法人」として経済産業省から認定を受けることができます。

この認定を受けることで、以下のようなメリットがあります:

  • 取引先や顧客からの信頼向上
  • 投資家からの評価向上
  • メディアでの露出機会増加
  • 採用活動でのアピールポイント

効果5:組織活性化とイノベーション創出

健康増進活動を通じて、部署や階層を超えたコミュニケーションが活発になります。

 

ヒューマンフィットネス東浦が行った「出張フィットネス講座」では、

参加した企業の従業員の皆さんから「普段話すことのない他部署の人と交流できて良かった」という声を多数いただきました。

このような横のつながりが生まれることで、新しいアイデアや革新的な取り組みが生まれやすい組織風土が醸成されます。

 

具体的な健康経営の進め方:4つのステップ

ステップ1:現状把握と課題の明確化

健康経営を成功させるためには、まず現状を正確に把握することが重要です。

私たちは以下のような方法で、企業の健康課題を可視化します:

 

身体機能チェック 

従業員の姿勢、筋力バランス、柔軟性などを客観的に評価します。

これにより、将来的な怪我や不調のリスクを予測することができます。

 

健康アンケート調査 

生活習慣、ストレスレベル、睡眠の質、運動習慣などについて詳細なアンケートを実施します。

個人の回答は匿名化した上で、組織全体の傾向を分析します。

 

健康診断結果の分析 

既存の健康診断結果を詳細に分析し、生活習慣病のリスクや健康状態の傾向を把握します。

 

ステップ2:戦略立案とプログラム設計

現状分析の結果に基づいて、その企業に最適な健康経営プログラムを設計します。

私たちの強みは、各分野の専門家と連携しながら、総合的なアプローチを取ることです。

 

運動プログラムの設計

  • 職場でできる簡単なストレッチや体操
  • 個人の体力レベルに応じた運動指導
  • オンラインでも参加できる運動プログラム

 

栄養指導プログラム

  • 専門家による個別の食事指導
  • 社員食堂のメニュー改善提案
  • 間食や飲み物の選び方指導

 

メンタルヘルスケア

  • ストレス管理の方法
  • コミュニケーション改善研修
  • リラクゼーション技法の指導

ステップ3:プログラムの実行と継続支援

計画されたプログラムを実際に実行していきます。

ここでは継続性が重要になるため、従業員が楽しみながら参加できるような工夫を凝らします。

集合研修・セミナー 

「健康づくり研修」では、なぜ健康が重要なのか、

どのような方法で健康を維持・改善できるのかについて、わかりやすく解説します。

 

単なる知識の提供ではなく、実際の行動変容につながるような内容構成を心がけています。

 

私たちは過去に、短時間高強度トレーニングの第一人者である田畑泉教授をお招きして

タバタセミナーを開催した実績があります。

 

このような著名な専門家による研修は、従業員の健康への関心を大きく高める効果があります。

 

オンライン対応 

在宅勤務が増えている現在、「遠隔でもオンライン体操で元気に!」というコンセプトで

従業員が自宅からでも参加できるよう、Zoomを活用したオンライン運動指導を行っています。

 

出張サービス 

企業のオフィスに直接伺う「出張フィットネス&セミナー」も好評をいただいています。

普段の職場環境で実施することで、より実践的で継続しやすい内容を提供することができます。

ステップ4:効果測定と改善

健康経営の効果を継続的に測定し、必要に応じてプログラムの改善を行います。

これにより、投資対効果を最大化することができます。

 

定量的な効果測定

  • 健康診断結果の改善度合い
  • 生産性指標の変化
  • 離職率・採用率の推移
  • 医療費の削減効果

 

定性的な効果測定

  • 従業員満足度調査
  • 職場の雰囲気の変化
  • コミュニケーションの改善状況

 

私たちのYouTubeチャンネルは登録者数2,200人を突破しており、

多くの企業や個人の方に健康情報を発信しています。

このような継続的な情報発信も、健康経営の効果を高める重要な要素の一つです。

成功事例:健康経営で変わった企業の実例

製造業C社の取り組み:腰痛対策から始まった変革

従業員320名の製造業C社では、立ち仕事や重量物の取り扱いが多いため、腰痛に悩む従業員が多くいました。

初期の調査では、全従業員の約45%が慢性的な腰痛を抱えており、これが作業効率や品質に影響を与えていました。

 

例えば、以下のアプローチで取り組みました。

段階的な改善プログラム

  1. 全従業員を対象とした姿勢・動作チェック
  2. 正しい身体の使い方に関する研修
  3. 職場でできる腰痛予防体操の指導
  4. 個別のパーソナル指導(重症者対象)

環境改善の提案 

作業環境の改善についても提案を行い、

作業台の高さ調整や補助器具の導入をサポートしました。

 

結果 

取り組み開始から1年後、以下のような成果が得られました:

  • 腰痛による欠勤日数が60%減少
  • 作業効率が20%向上
  • 製品の品質クレームが30%減少
  • 従業員満足度が大幅に向上

IT企業D社の取り組み:メンタルヘルスケアの充実

従業員30名のIT企業D社では、長時間労働やプレッシャーの多い仕事環境により、メンタルヘルス不調による離職者が増加していました。

 

総合的なメンタルヘルスケア

  1. ストレス状況の詳細な調査
  2. マインドフルネス研修の実施
  3. コミュニケーション改善プログラム
  4. オンラインカウンセリング体制の構築
  5. 運動を通じたストレス解消プログラム

結果

  • メンタルヘルス不調による休職者が50%減少
  • 離職率が25%改善
  • 新規採用において「働きやすい会社」として認知度向上
  • プロジェクトの成功率が向上

健康経営の導入における課題と解決策

よくある課題1:経営層の理解不足

「健康経営なんて、お金ばかりかかって効果が見えない」

と考える経営者の方も少なくありません。

 

この課題に対しては、具体的な数値目標と効果測定方法を事前に明確にすることが重要です。

解決策

  • ROI(投資対効果)を明確に示す
  • 他社の成功事例を具体的に説明
  • 段階的な導入による効果の実感
  • 定期的な効果報告会の実施

よくある課題2:従業員の参加率の低さ

せっかく健康プログラムを用意しても、参加者が少なくては効果が期待できません。

この問題は、プログラムの内容が従業員のニーズに合っていない場合に起こりやすくなります。

 

解決策

  • 事前のニーズ調査を徹底的に実施
  • 参加しやすい時間帯・方法の設定
  • インセンティブ制度の導入
  • 楽しみながら参加できる内容の企画

よくある課題3:継続性の確保

健康経営は短期的な取り組みでは効果が出にくく、継続的な取り組みが必要です。

しかし、多くの企業で「最初は盛り上がったが、だんだんと参加者が減ってしまった」という課題が生じます。

 

解決策

  • 定期的な効果測定と結果のフィードバック
  • プログラム内容の定期的な見直し
  • 従業員同士のコミュニティ形成
  • 経営層からの継続的なメッセージ発信

まとめ:健康経営で築く持続可能な企業の未来

労働人口減少社会において、健康経営は企業が生き残り、発展していくための重要な戦略です。

それは単なるコストではなく、将来にわたって大きなリターンをもたらす投資なのです。

 

健康経営の効果は、従業員個人の健康改善にとどまりません。

組織全体の生産性向上、人材の定着、企業イメージの向上、医療費削減など、

多方面にわたって企業経営にプラスの影響をもたらします。

 

しかし、健康経営を成功させるためには、専門的な知識と継続的な取り組みが必要です。

私たちヒューマンフィットネス東浦は、

健康経営アドバイザーとして、企業の皆様の健康経営を徹底的にサポートいたします。

 

「従業員の健康なくして企業の発展なし」

 

この考えのもと、私たちは企業と従業員の双方にとってメリットのある健康経営の推進をお手伝いしています。

労働人口減少という課題を乗り越え、持続可能な企業成長を実現するために、

ぜひ健康経営への取り組みを検討してみてください。

 

健康経営に関するご相談やお問い合わせは、いつでもお気軽にご連絡ください。

貴社の状況に合わせた最適なプランをご提案させていただきます。

 

ヒューマンフィットネス東浦 TEL: 090-4264-6609

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